鮮度が落ちると店員を雇い止めする喫茶店

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(引用ここから)

弁護士ドットコムニュース

 

全国展開する喫茶店チェーン「カフェ・ベローチェ」の千葉県の店舗で4年11カ月の間、アルバイトとして働いてきた30代の女性が「雇い止め」を受けたのは不当だとして、店舗の運営会社に雇い止めの撤回と慰謝料を求めていた裁判で、東京地裁は7月31日、請求を棄却する判決を下した。

女性は、2008年7月から2013年6月まで、千葉市の店舗でアルバイトとして勤務していた。アルバイトの契約更新に制限はなく、3カ月ごとの更新を19回繰り返していたが、2012年3月、同社から突然、契約更新の回数を上限15回として、通算4年の勤務で契約を満了するという通達を受けた。

(中略)

また女性は、雇い止めとなる前の2013年1月、同社と組合の交渉の場で、人事部長に「従業員は定期的に入れ替わって若返ったほうがいい」「うちの会社ではこれを『鮮度』と呼んでいる」などと言われ、人格を傷つけられたとして、200万円の慰謝料を請求していた。

しかし東京地裁は、人事部長が「鮮度」に関する発言をしたことは認定しつつ、「原告の人格を傷つける意図があったことを認めるに足りる証拠がない」として、不法行為責任を否定し、慰謝料請求を認めなかった。

(引用ここまで)

 

これまで19回の契約更新をしていながら、突然更新回数の上限を15回だと通告されるというのは理不尽以外なにものでもなく。16回目以降の更新はテメエらの社内規定を自ら破っていたのか、という話になります。

 

しかもその過程の中で人事部長が「従業員は定期的に入れ替わって若返ったほうがいい」「うちの会社ではこれを『鮮度』と呼んでいる」と発言。じゃ、経営者の鮮度は保たれてんのかと思うのですが。

 

女性は人格を傷つけられたと慰謝料も請求していたそうですが、それも棄却。その人事部長の発言を認めているのに、東京地裁の吉田光寿裁判官は【原告の人格を傷つける意図があったことを認めるに足りる証拠がない】と判決で述べたと言います。
つまり、鮮度発言を認めたが、人格を傷つける意図があったどうか証拠がないという訳です。個人が発する言葉の意図を証明する証拠ってのはなんなんだろう?
人事部長に傷つける意図があったのならここへ出してください、私が縄で捕まえますから、とぬかしているのに等しい。

 

会社側の、定期的に若返った方が良いのだ・これを鮮度というのだ、などと、テメエんところは喫茶店ならぬ、トレトレピチピチの海鮮料理屋でもやってんのか!と、ツッコみたくなる発言を認めたのならば、その言葉だけで傷ついたであろうことは誰にでも想像がつきます。それともこの吉田と言う裁判官は人間の血が通っているのだろうか、とすら思ってしまう。

 

いずれにしても原告側は不当判決として控訴する予定だそうです。
けれども、労働裁判の難しさも感じさせられます。裁判の長期化と共に、再雇用という機会もグッと減るでしょうしね。労多くして報われるものの少なさ、と労働争議を争う無力感もなきにしも非ずでして。こうしてユニオンが全面支援してくれる、というケースばかりじゃないでしょうし。
総じて労働者側が泣き寝入りするという事態が多くなるのも頷けるわけです。

 

しかし、企業がブラックならその問題を裁く裁判官が冷血というのでは個人の労働者とすれば、いったいどこに救いがあるのでしょうか。

 

 

追記:2016年2月17日

この件で原告とカフェベローチェ側が和解したとの報道がなされています。