床屋談義

今日は公休日だったので、ボルサリーノになりつつあった我が頭髪を散髪すべぇ、と理容店へ。いつもの行きつけは全国チェーンの理容店です。何しろシャンプー込みでも2000円でお釣りがくるという安さ。大変重宝しています。

 

平日の午前中しかも雨、空いているだろうと訪れましたが、あにはからんや、すでに先客が約5名ほど。しかもまだ散髪作業にに取り掛かっていないようです。店内を見渡すとスタッフは3名。「4番の椅子にお座りください」と促され、バーバーチェアーと言うのでしょうか、足を置くステップ板にもカットされた前客の髪の毛がまとまって落ちたままです。それを足で払いのけ椅子へ腰をかけます。

 

床にも頭髪が大量に散乱し来客が多くて床の清掃も捗らないんだなと腑に落ちます。その後にも次々と来店客がありまして、たちまち鏡の前の椅子がうまります。うーむ、スタッフの勤務シフト的には本日の来客予想が大きく外れたんだろうなぁと、腕組みしながらぼんやり考えていると、シェービング担当のオネェさんがやってきて「大変お待たせして申し訳ありません。もうしばらくお待ちください」と、なぜか他にも待たせている客がいるにも拘らず、私にだけ平身低頭。

 

いや別に怒ってるわけではないんですが、怖い顔でスマンの。
北村一輝の「猫侍」ではないけれど『生まれつきこういう顔なのだッ』を思い出しひとり可笑しくなったりして。手持無沙汰も極まるといいますかなーんにもすることがないと、いろんなことが頭の中をよぎりますな。
私よりも順番が先の客は、ずいぶんと頭髪が後退されたひとです。何処を切るねんあんたは。散髪なんか必要ないだろうと、心の中で毒づくイヤらしいワタシは許しがたい、本当にすんません。

 

さらに先客には兄弟らしき子どもが2名。
カット担当のひとが付き添いの母親に「おかあさん、どのようにしますか?」と尋ねます。「ソフトモヒカンでお願いします」おお市民権を得てるな、ソフモヒ。「横と後ろはしっかり刈り上げて下さい」
そうだろうね、すぐ伸びるし散髪代もったいないもんな。そういえば新学期がもうすぐで「散髪に行くよ」と引っ張ってこられたんだろうか。あー、それで子供が多くてこれだけ混雑するんだとひとり納得。
ところで子どものソフモヒは可愛いけれど、60過ぎの政治家のおっさんがソフモヒすんなよ、と変なところで力みます。

 

そうこうしているうちにもどんどん客がやって参ります。
うーむ…これなら昼の休憩時間もロクに取れないぞ食事はどうすんだ、と他人事ながら心配になります。店長、休んでいるスタッフの誰かを呼び出せばどうでしょうか?などと余計なことまで考えが及びます。いやいや労働基準法もあるし、そんなことはいけません。うん!昼過ぎに「休憩中」の看板を出して来客の入店規制をするというのはどうでしょうか?これならいけます店長!などと、どんどん妄想しているうちに、私の散髪が滞りなく終了。

 

前髪や服などをブラシで払いながら「はい、お疲れ様でしたー!」と元気よくスタッフが声を上げます。いやいや私は座っているだけで、お疲れ様はあなたでしょうと、そう思うが私の口を衝いて出てくる言葉は「はい、どうも」とモゴモゴ言うだけ生来の口べたがダメダメでして。ありがとうございました、お蔭でさっぱりいたしました。こういう職人さんが世の中を支えてるんですなあ。腱鞘炎に気を付けて頑張って下さい、と心底思います。

 

店を出た後、このへんがちょっと気に食わないんだよな、と手櫛で頭を撫でつけますけども。