消費税増税が必要だという分からず屋

消費税が増税され半年近くが経とうとしています。
がしかし、そのことで個人消費が冷え込んでいるようです。まるで日照時間が少なかった今年の夏のように。

個人消費、反動減続く 家計調査5月8.0%減 :日本経済新聞

 4月の消費増税に伴う個人消費の落ち込みが続いている。総務省が27日発表した5月の家計調査では、1世帯当たりの消費支出(2人以上世帯)は27万1411円で、物価変動を除いた実質で前年同月比8.0%減った。減少幅は4月の4.6%から拡大した。ただ、流通業の売上高を示す商業販売統計(小売業)は0.4%減にとどまった。4.3%減った4月に比べると落ち込みが緩やかになっている。

 家計調査の実質消費は、東日本大震災があった2011年3月(8.2%減)以来の落ち込みだった。1997年の前回増税時は駆け込み消費の反動で4月に1.0%、5月に2.1%落ち込んだ。今回の減少幅は4月に4.6%、5月に8.0%で、落ち込みがきつい。

消費税増税が必要だ、というニッポン国政府やこのニッケイのような御用新聞などは「駆け込み需要による反動で一時的なものである」と強弁するようですが、果たしてそうなのかどうか。さらにこの上10%に増税するタイミングを見計らって、政権の支持率にも大きく影響することから今のところ時期を明確にできないのが彼らの本音でしょう。

 

消費税という不公平税制を「広く全ての人に公平に薄くかかる税金だ」などと詭弁を弄する連中にはいくら言っても無駄らしく。
ジミントーの谷垣幹事長などは『アベノミクスの失敗だと取られないためにも10%への消費増税を行うべきだ』と本末転倒も甚だしく、酷く倒錯したことを言う訳です。
その他日銀の黒田総裁も増税しないことの方がリスクが高い、と訳わからんことをノタマイます。このような連中は消費増税ありきで思考停止しているようです。

 

年収の少ない人が富裕層よりも多くの割合で税金を納める消費税の逆進性は巷でもよく言われることです。それは当然そうですが、その他問題を多く孕んでいる税制だということです。
消費する際にはすべて税金を支払っているということから、消費税は預かり税的性格なので、商品の売価に税金を転嫁できないことはありえない、などと思い込んでいる人は、全ての税目の中で消費税の滞納率がNO.1であるという事実を知ることです。

全商連[全国商工新聞] 消費税なしで財源確保できる=湖東税理士が提言

滞納増え地方が疲弊
 12年度に新たに発生した消費税の滞納税額は3180億円で、国税全体の滞納税額の53.5%を占め、第1位となっています(『国税庁統計年報書』)。
 11年度分の消費税の滞納税額割合(図3)を見ると、東京国税局に比べ、札幌、沖縄の両国税局は群を抜いて高くなっており、地方経済の疲弊を如実に物語っています。

図3

 消費税は疲弊する地方や復興をめざす被災地での営みにも容赦なく課税されます。
 消費税が3%の96年度の滞納額は4300億円、5%に上がった98年度は7249億円に急増しました。とりわけ、滞納件数が94万件から114万件に激増していることを見逃してはなりません。8%への税率引き上げにより、滞納が急増することは明らかです。原因は消費税が欠陥税であり、応能負担に反して力のある者が弱い者から収奪する税だからです。

 

5%に上がった98年度は倍近く滞納額が増えています。
今回の8%への増税でいくらの滞納額になるのか。増えることには間違いのないことでしょう。
他にも、大企業が輸出する際に払い戻しを受ける輸出戻し税などは、納入代金を叩きまくって名目上、下請け企業に支払ったことになっている消費税の還付を受けて収益にするわけです。ようするに税率が上がれば上がるほど大企業にとっておいしい税率ですから、経団連などが増税の旗振り役をするのも当然だと言えます。


長くなるので割愛しますが、企業間取引でも消費税の支払いがあることで、最終消費者に対して税金が積み上がらないようにする「仕入れ税額控除」という制度を利用し、正社員を減らして派遣や下請けを増やす企業が多くなることも当然の帰結でして。賃金の低下や不安定雇用にもつながる税制だと、いうことも言えます。

 

シャウプ博士は「公平な税制とは違う扱いをすることだ」と言いました。応益負担ではなく応能負担だという原則を無視しています。つまり、弱者のわずかなお金を強者に移す、とんでもない税制なんですが、ここまで言っても分からずやの耳には届かないのは分かっていますけれども、私みたいな零細ブログの管理人が何故にこんな記事を書いたかという、モチベーションみたいなものを言いますと。消費増税が財政を立て直し、将来の社会保障費の増大に備えるためには必要なんだ、などという訳知り顔のネット有名人のネット記事からでした。

 

はてなブックマーク - 消費税増税しないとヤバイ? - Togetterまとめ

 

なかなか辛辣なブコメ群がどうも、やまもといちろう氏の癇に障ったようでして。私もブコメをしましたら、ありがたいことに私ごとき無名の貧困層にも御自らメンションを送ってこられました。

 

このツイートまとめサイトを読むと消費増税したら税収が増えるに決まってんだろ、ということから始まり、消費増税は将来の社会保障費増大に備えて必要に決まってんじゃん、という論旨で押しておられるようです。そして法人税減税で競争力を維持していかないと景気が上向かないのだ、と仰っています。
それでもさすが、『消費税だけ』とは言ってない、などと逃げを打っていますが、それでも消費税増税が必要だという結論は変わらないようです。


法人税なんて、黒字企業しか払わない税金を減税して、内部留保だけが積み上がって、再分配などには一切無頓着な一部の大企業だけを利することがなんの競争力の維持なんだか。

 

消費税増税で税収が増えたとしても、法人税減税でまるでザルで水をすくようなことをして、財政の健全化も立て直しもクソもないもんだ、と私なんかは愚考しますけれど。

さらに言うなら、消費増税をすることで財政出動が5兆円規模で必要だというエコノミストの試算もあるようです。

 

5兆円の財政出動が必要、消費税の10%引き上げで-エコノミスト調査 - Bloomberg

 

景気の腰を折らないために、低収入世帯に一時金を支給したりその他諸々の経済対策が必要なんだそうでして。
こうなると何やってんだか、というか。
もっと言えば、あほちゃうかとも言いたくなります。それに何より時の政府が社会保障費のために消費増税分を財源に充てるはずだと信じている、ノーテンキさには呆れ果てるのです。そんなに信用しちゃっていいんでしょうか。
だから「保守派」というのでしょうが。

 

まあ、私みたいな無名のヤカラがなにを吠えようが、氏が言うように、カスみたいなもんでして。ですから最後にこの人の記事をリンクさせてもらってお茶を濁したいと思います。


本誌独占インタビュー ノーベル賞経済学者クルーグマン 「日本経済は消費税10%で完全に終わります」 | 経済の死角 | 現代ビジネス [講談社]