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ネットで読んだ「自動車工場の期間工」という記事に思い出すあれこれ

こんにちわ。

 

少し変で面白い記事に出会ったので、ちぃとばかり御相伴に預かろうかとエントリします。

「ロースおじさん」という方がホームページ作成サービスの読者の質問に答える形式なんですが、本来の業務にまったく関係なく、人生のあれやこれやの機微、或いはヨシナゴトについて「大体の事は答えていくよ」というオールラウンドな博識を炸裂させているようです。アンタ、経験がなければここまで書けないだろう、という詳しさで、しかも面白くてためになる相談コーナーがありましてですね。

 

なんで「とんかつ」で「ロースおじさん」なのか、そこのところはあまり詮索せずにサクサク進めようと思います。

 

とんかつQ&A「自動車工場の期間工

ロースおじさんこんにちは。僕は今無職なんですが、そろそろまとまったお金が欲しくて、割のいいバイトを探してます。求人誌をめくっていたら「自動車工場の期間工」というやつが収入的にかなり魅力だったんですが、応募しても大丈夫でしょうか? 危険なこととかないのでしょうか? 知ってる範囲で教えてください。

甘えたこと言ってんじゃねえぞ、「危険なこととか」だと?どんな仕事にもリスクは付きまとうんだよ!
・・・という、そんな他人を奈落の底へ突き落すような乱暴な言葉を吐かずに、あくまでロースおじさんは親切丁寧に質問に答えます。

 

自動車工場の期間工ね。メーカーや派遣会社にもよると思うけど、手取りで一ヶ月30万弱もらえて、さらに場合によっては入社祝い金がもらえたりとか、期間満了すれば満了金も出たりとかする実入りの良さは魅力的よね。住み込みならワンルームマンションの一室を大抵は寮費・光熱費タダで貸してもらえるから、プライバシーの心配もないし、工場付設の食堂を使えば1食300~400円で満腹になるし、体力に自信があってお金を貯めたい人なら応募してもええんやない?

 

ここで、ゲロしちゃいますけど。
私も自動車絶望工場で有名な鎌田慧氏じゃないけれど、人生のある時期にえーと、あれがそうして、こうなって・・。
まあ、「自動車工場の期間工」として数年を過ごした時期があったわけです。だから、この記事に食いついたというか。懐かしいという思いもあり、というわけでして。

 

うーん、だいたいの認識は間違いじゃないと思う。でも時代が違うのかもしれないけれど、その当時、私が所属した派遣会社は寮費は有料(3万円くらい)で、3DK~4K位のアパートに3,4人ブチ込まれ、しかも電気代も5000円程度、差っ引かれるという。
まったく給料もピンハネされた上に、寮費などからもウワマエをはねられるというとんでもなく酷い有様。
派遣会社のやり口がまともだった試しはないですけど。


まあ、20年以上前の話だから、今とはかなり違うかもしれない。
そんな状態だったけど、月1回に食券を配布してくれて工場にある食堂を利用できるので助かった。
あと、金に困った時は食券を売店でも利用できるので、それでタバコやその他日用品みたいなものを購入するという手もありまして。仲間内ではそれを「食券乱用」と言ってました。

 

期間工に応募する前に気をつけることと言えば、「工場の立地」やね。自動車メーカーによって工場がある場所って全然違うんやけど、うっかり街から外れた田んぼの中にしか工場がないメーカーに応募しちゃったりすると、休みの日にも一切娯楽がない世界に放り込まれるんよ。都会で暮らしてた人にとって、田舎の娯楽の無さってホンマ想像を絶するレベル、アナザー・ディメンション。

 

ロースおじさん、異次元を「アナザー・ディメンション」という辺りが只者ではないと感じさせるのです。

それはともかく。
たしかに立地も重要です。ロースおじさんが言う、田んぼの中にしか工場がない、ということよりも。
わりと工場は臨海工業地帯に隣接してるところが多くて、原発と一緒で海に近い、というところですかねえ。

娯楽の無さってのがアナザー・ディメンションか?というと。
そこには、当然パチンコ屋が幅を利かせているという立地条件がザット・イズ・ア・クエスチョンなんよ(あれ?ロースおじさんの口調がうつってしもうた)。

 

それでも時々、地元の期間工のおっさんが「おめえ、パチンコばっかり行きよったらおえりゃあせんけんの」と注意はしてくれますけれど、他に娯楽が無くて人間そんなに意志が強いかどうか、いつも試される日常というのも、自分のダメさ加減と常に対峙して、なかなかに味わい深いものがあるけんどもね。

 

唯一現代文明と触れ合えるのが国道沿いにある「ガスト」で、休みの日にはチャリで15分かけてそこに行って、山盛りポテトフライを塩の一粒まで味わって噛み締めて食うことが唯一の娯楽となる世界って実在するんよ。ポテトフライに娯楽性を感じられる自信がない場合は、比較的街に近い場所に工場を持ってるメーカーを最初から選んで応募した方がええよ?

 

うむむ。

【山盛りポテトフライを塩の一粒まで味わって噛み締めて食うことが唯一の娯楽】っていうのをシミジミ感じたことがないので、いつまでたってもおいらは小市民だす。

 

運と言えば、実は期間工って配属先の「部署」も自分で選ぶことはできんくて、会社都合で決められるんやけど、これもかなりの割合であなたの期間工生活を左右する重要な問題なんよ。なぜかっちゅうと、配属される部署によってキツイとことキツくないとこが結構分かれるんよね。検査係や塗装なんてのは楽な部類なんやけど、ホンマに最悪なのは「車体の組み立て」ね。車体のネジを締める時にはインパクトレンチっちゅう電動の工具を使うんやけど、組み立ての部署でこのトリガーを何万回も引いてると、「バネ指」っちゅう指の腱鞘炎になって、指の曲げ伸ばしに支障をきたすようになるんよ。ひどい時は切開手術をせんといかんようになる病気やから、組み立てに回された時は多少の覚悟が必要かもしれんね(一応仕事のあとは、お風呂で手をよく揉んでマッサージするように指導されるよ。効くのかどうかは知らんけど)。

 

ボルトを締めるときはインパクトの親玉なんやけど、ねじを締めるときは比較的楽なドライバーというのもあります。
だけど、組立はきついですね。はた目にはゆっくり流れているように見えるラインも、自分で実際に作業したら追い立てられ、もっとゆっくり流さんかい!と叫びたくなるね。それでも作業に慣れればそんなこともなく、腱鞘炎になるという寸法ですか。

 

ロースおじさんは塗装が楽な部類と言ってますが、塗装はゴミや埃を嫌うためクリーンルーム(と言っても半導体工場のレベルではありませんが)で閉所が苦手な人はどうかな、と思います。
私は「中研ぎ」というのをやりましたが、次から次に流れてくる上塗りする前の、ベースコート塗装された車体のゴミが混入した部分をひたすらペーパーヤスリで磨くという、なんともはや人間性を削ぎ落した作業で身も心もボロボロになりかけ、体調を崩して2~3日休んだら次の日から組み立て検査の方に回されて、なんとか生きながらえたということがありました。

 

検査はいろんな項目があり、車検時と同様のブレーキテストやメーターテストなんかもやりましたが、いちばん記憶に残ってんのはアンチロックブレーキの作動検査ですかね。
それは、鉄板に水を撒いて、組み立てられたばかりの新車に乗り込み、5~60㎞くらいのスピードでフルブレーキング。
でもってフットブレーキにポンピングのキックバックがあるかどうかを確認するというもの。
今思うと、俺なんかが検査してて良かったのかね、と思うことが時々ありますね。

 

まあ総じて、どんなもんか、いっちょ経験したろか、という好奇心旺盛な方はともかく、夜勤もあるし体力的にはきつくて給料もその割にたいしたことがない(派遣だとピンハネが腹立つし)。
さらにはパチンコ屋に、沢山持ってかれる。
というわけで、それで生活をどうこうしようという方面にはお勧めできない、と個人的には思います。