年金減額は憲法違反だ、という提訴が気に入らない人々


年金の減額は憲法違反であると、全国の年金受給者が提訴したそうです。

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老齢年金・厚生年金を受給している東京都内の526人が5月29日、国を相手取って「年金支給を減らした決定を取り消せ」と求める訴訟を、東京地裁に起こした。原告たちと弁護団は、東京・霞が関の司法記者クラブで会見を開き、「年金削減は憲法違反だ」と訴えた。裁判の原告は全日本年金者組合のメンバーが中心で、この日は全国13都府県の年金受給者約1500人が、同様の訴えを各地で一斉に起こしたという。

訴状などによると、原告側は、2012年11月に改正された年金を減額する年金関連法が、「健康で文化的な最低限度の生活」を保障する憲法25条などに違反していると主張。それに基づいて2013年12月4日付けで決定された「老齢基礎・厚生年金の減額」が違法だとして、減額の決定を取り消すよう国に求めている。今後、全国45都道府県で順次訴訟を起こすという。

(引用ここまで)

 

で、この記事についたブコメの酷さと言ったらですね、一応現役世代ではありますが近い将来にリタイヤ後の生活がさし迫ってきている当方としても、とても看過できないネオリベ感溢れるタケナカヘイゾー状態です。
人気ブコメを少し拾い上げると。

●若者は死ねというのか

ある種の本音としては、年寄りは純減してほしいと思ってるよ。 / だって国家が倒れちゃうもん

困ってるのは爺婆だけじゃねーんだよ。そして、こいつらの厄介な所は、「声の大きいだけの少数」ではなくて、「ただでさえ声のデカい多数」ってところに本質があるんだよ

 (引用ここまで)

こういう声に沢山の☆が付く現実。
いや、若い世代が抱く雇用や社会の色んなものに対する不公平感も理解しますけどね。
けれども。

 

その不満に対する、はけ口がなにゆえに高齢者に向かうのか、さっぱり理解不能です。
自分たちが今置かれている雇用の不安定さと、これから先訪れる漠とした老後の不安や・・いや、20代30代の人に【老後】という不安はないのかもしれませんね。そもそも自分の死すら現実として捉えていない人が多いのかもしれません。かく云う私も2~30代の頃には老後の「ろの字」すら考えたことなどありませんでしたから。

 

今の現役世代の将来が、年金制度の破綻の恐れがあるかもしれないといって、今の高齢者を批判するのは筋違いでしょう。それは政府の無作為によるもので、今の高齢者個人には関係ありません。
とは言ってもそんな政権を選択してきた責任はあるでしょうがね。


こないだの大阪都構想での投票結果をうけて「シルバーデモクラシー」という、一票の価値を減らせなどとぬかす「ちきりん」的な意識にも連綿と続いている、といったアンバイでしょうか。

 

 

 2 高齢者の経済状況|平成26年版高齢社会白書(全体版) - 内閣府

上記リンク先、内閣府の白書からグラフを借りました。

 

図1-2-2-3 高齢者世帯における公的年金・恩給の総所得に占める割合別世帯数の構成割合 

 

この円グラフを見ても分かるように、56.8%もの世帯がすべて年金だけで生活していることが分かります。

 

図1-2-2-4 年齢階級別ジニ係数(等価再分配所得) 

次に、各世代のジニ係数のグラフです。

これを見ると、全世代と比べると60歳以上からの係数が高くなっています。74歳付近でいったん下がっていますが、75歳以上になりますと2011年度で0.34を超えます(係数は0に近づくほど平等で1に近づくほど不平等)。

つまりその年代の人の間では、富の偏在が著しいと言えるでしょう。
ありていに言えば「勝ち組老人」とそれ以外の人々という図式です。

次に、高齢者の生活保護受給者の推移です。

 

生活保護受給者の推移をみると、平成24(2012)年における65歳以上の生活保護受給者は78万人で、前年より増加している。また、65歳以上人口に占める生活保護受給者の割合は2.63%であり、全人口に占める生活保護受給者の割合(1.58%)より高くなっている

(引用ここまで)

図1-2-2-8 被保護人員の変移 

ジニ係数を裏付けるものとして、65歳以上の生活保護受給率が全体(1.58%)に比べて高く(2.63%)なっています。生活保護受給所帯を増大させるよりも、年金などを充実させる方が得策だと思うのですが。

 

 いまの現役世代の人たちが、いくら高齢者に「純減して欲しい」などと、悪態をついてもですね。
いずれ自分達もジジ・ババと言われる時期が来るんだということの、貧困かどうか知らないが、それくらいの想像力はあるだろうと思いますが。

 

しかも、戦後の成長時代を支えてきた今の高齢者は、きちっと年金を収めたきた世代だといえます。その人達が年金の減額は憲法違反だと訴えること。
それがひいては、現役・若者世代のためであるのだと、そんな風に少しは考えが及ばないのでしょうか?

 

憲法25条

すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。

国は、すべての生活部面について、社会福祉社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。

 

国は向上及び増進に努めなければならない、と憲法に規定しているにも関わらず、お政府様は向上はせずに年金減額や、さらには年金を株式投資などと博打に費やすような、そんな政策をしているわけです。ようするに、憲法違反の誹りを受けても仕方がないやんか。

 

それが高齢者にいわれのない批判をしたりして、情けない。不公平だと思うのならば。

文句言うならニッポン政府に言えよ、お前らよ。

ということ。


それがスジでしょ。