スーパーのレジ清算の列で待たされるとき

スーパーで買い物します。


すると当然、そのお店をなんのおとがめもなく退出するためにはレジを通過し、買った商品の清算をしなければならない。
しかし、レジカウンターの前には行列ができていることがよくある。そういった場合、人間はいま現在特に一分一秒を争うわけでもないのに、どのカウンターがいち早く通過できるのか、そんなことをすぐに観察をし始めたりします。『このふたり前に立ってるオバハン、カートの上下にカゴを積んでるやん、しかも山盛りやし。ここはやばい。3番のレジにいこ』なんていう計算です。


こちらは弁当とお茶、2点のお買い上げだ。そんなもんピッピッと十数秒で通過する、レジ担当にとってはありがたいお客様なんだよ、俺を優先しろ!』と、そんな大人げないことを思っても仕方がない。
じゃあ、てんで3番レジに行こうとすると、タッチの差でカートに商品満載のおばあさんが先に入ったりする。思わず「チッ!」と言いそうになるけれど、そこはぐっと我慢をする。


人間、自分の気持ちを抑え込むガマンは良くないものですね。そのイライラした気分で清算の列を待つと、他になんにもすることがないし、つい、レジ担当のひとの一挙手一投足を注目し出す。


商品バーコードのスキャンがスムーズに行かなくて、何度もセンサーにかざしたりしているの見てると、そのイライラが募ります。
君は何年この職場にいるんだね、えっ!?と、詰問したくなるのも人情でしょ。

 

ところで、セルフレジっていうのがあります。
客が自分で買った商品をスキャンしてお金を払うというシステム。あれはスーパー側が待たせないというよりも、客にこんなにも大変な仕事なんだよ、というのをそれとなく教育したい、そんな深謀遠慮があるかもしれない。

あれを自分ですると、商品スキャンが上手くいかないことが、ままありまして。そもそも、そのバーコードの場所を探すというひと手間がかかるから、やはり餅は餅屋、レジの人の熟練度がその時やっと理解できたりする。

 

そのセルフレジでも待たされてイライラすることがある。
子ども連れのお母さん。
商品スキャンを子どもがしたがる、いわゆる「お手伝い」。
することがいちいち遅い。
さらに、その子たちが二人の姉妹連れだったりすると、上のお姉ちゃんがすることを妹も真似したがる。そこで姉妹で商品を取り合ったりしてけんかが始まる。後ろで待っているこちらは、いきなり、その家庭の居間に連れて行かれた気分になる。
早くしろよ!』とテレパシーを飛ばすけれど、こちらの存在すら気づいていないかのように、母親は姉妹のけんかの仲裁やら「お姉ちゃんなんだから少しは譲ってあげなさい」などと情操教育が始まったりして。
「なんでもいいからさ~」最早、泣きが入る。

 

話を先ほどの3番レジの列に戻します。

 

艱難辛苦、臥薪嘗胆、いやぁここまで長かった。
ようやく私の番がくる、待ったかいがあるというもの。
オッと、私の前のおばあさんの清算がある。

 

レジ:「合計、2千3百63円です」

 

おばあさん:「え?二千?なんぼ?」

 

レジ:「2千3百63円です」

 

おばあさん:「えーと、ちょっとまってね」と財布をバックから取り出す。

 

そんなもん、財布くらい!金を払うの決まりきったことだし手に持つとか、前もって用意しとけよ!!』と念を送る。

 

おばあさん:「三百・・・、六十・・、三円、、ね」小銭をきっちり出す。

 

ここで私の気持ちを表現するのは憚れるくらい、悪口雑言がココロの中に渦巻きます。カードにしてくれよ。お年寄りだと割引になる「ジジなんちゃら」だとか?そんなの支払いも「ワォン!」一発でしょうが。

 

おばあさん:「え?わたし、カード嫌いですねん」

 

やかましわ。

 

 

ようやく私の番だ。

レジ:「合計、628円です」

 

みろ、この速さ。

 

私:「はい」
ここはスマートにあらかじめ用意していたカードを出す。するとカードスキャンから(ジジン)とか変な音がする。

 

レジ:「300円不足ですね、どうされますか?」

 

私:「え?え?、じゃ、じゃあ、に、2千円チャージで」

あわわ、とポケットの財布を探す。

 

後方から、あからさまに「ちっ」という舌打ちが聞こえる。