労働者が不利益被る裁量労働という働かせ方

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私も上記のようにツイートしましたが、厚労省が提出したデータが誘導というか恣意的な設問で作成されていたようですが、ゴミウリや3Kといった政権御用マスコミが誘導する世論調査の質問みたいなものですね。それでも厚顔を画に描いたような安倍首相は答弁を撤回しただけで、官僚が提出したものを信じるしかないわけで、ボクは悪くないもんね、と居直っているようです。

 

コトバンクには次のように記載してあります。

裁量労働制(さいりょうろうどうせい)とは - コトバンク

実際に働いた時間でなく、あらかじめ決められた労働時間に基づいて残業代込みの賃金を払う制度。それ以上働いても追加の残業代は出ない。仕事の進め方や時間配分をある程度自分で決められる働き手に限って適用できる。研究開発職など専門性の高い仕事か、企業の中枢で企画・立案などの仕事に就く人が対象。

 「仕事の進め方や時間配分をある程度自分で決められる働き手に限って適用できる。」

 
「ある程度」という点がミソなんでしょうか。例えば生産現場で働く仕事ならば、何時から何時までという労務管理は容易ですが、研究や開発、編集、営業などという職種は時間管理が困難なうえ、成果が時間で推し量れないという難問が横たわっています。
しかし「今日はここまで」と就業時間を自分で自由に裁量を持って決められる労働者が、経営者以外何処にいるのかしらん。


おそらく企業側は「成果は出ないくせに、時間ばかりかかって残業代は膨らむ一方だし」という被害者意識の発露から、裁量労働制の拡大を目論んだのは明白です。それは第一次安倍内閣の時に「ホワイトカラーエグゼンプション」を計画し、とん挫した過去があるわけで、今回の「働かせ方改悪」はそのリベンジの如くこうして何度も何度も、手を変え名を変え法案を提出してくるわけで安倍晋三が言ってた「再チャレンジできる社会」には合致しているのですが、国民にとって迷惑極まりない。

 

裁量労働制の概要 |厚生労働省厚労省ホームページ)

今のところ適用業種は専門型が19業種と企画業務型となっています。

 

「業として他人の就業に介入して利益を得てはならない」という記述の、すでに空文化している労基法6条は削除しろよ、と思うのですが、ご記憶の向きもあろうかと思います。労働者派遣法が初めて制定された1986年当時、ポジティブリスト(この業種だけが派遣を受け入れられる)13業種だったものが その後改正され26業種に拡大。
挙句には1999年にはネガティブリスト(この業種だけが派遣禁止)7業種と、どんどんなし崩し拡大の一方。

 

このように派遣法が適用範囲を広げ、いまに至る非正規・正規の格差拡大や雇止めの問題を引き起こしている訳です。今回の裁量労働制がこのプロセスを踏まない、とだれが約束してくれるのでしょうか。
しかもこの裁量労働制は「定額働かせ放題」と揶揄されるように、みなし残業代を含んでおけば時間管理が容易ではない業種もサービス残業させ放題、となり得ます。なんと言っても、出退勤務時間のカード等を備えている事業所ばかりではないでしょうし。

さらに昨日にはとんでもないデータが厚労省の地下倉庫から出てきたと大騒ぎです。

https://mainichi.jp/articles/20180222/k00/00m/040/132000c

また、これまで厚労省が「ない」と説明していたデータの基となる調査票が、20日に厚労省本庁舎の地下倉庫から見つかったことも判明。野党の指摘を受けて調べたところ発見されたといい、問題発覚後の調査の甘さが浮かんだ。

(中略)

1週間の残業が「25時間30分」だったが、1カ月の残業は「10時間」だった

こんな加減乗除も無茶苦茶なデータを前提に作成した答弁をしておきながら法案の撤回をしないという、初めから結論ありき。
しかし、「ない」としていた書類が地下倉庫に「ありました」というオチは厚労省職員の内部告発なんでしょうか。
公益通報者保護法を適用して、守ってやってほしいもの(笑)

 

結局のところ、自民党政権はいつの時代であろうが、企業・財界向けの政策をすることで自らの政権の浮揚、延命を図ることしか存在理由はないのでしょうな。