ノーテンキな労働者を叱咤しているかのように装いつつ、政権側の代弁者だったりする件

 手前なんかが有名作家先生様の批判をするのもおこがましい限りなんですけども。どうもこの記事を読むとですね。奴隷的なサービス残業などという、社会の病巣に切り込んでいるんかいな、と思わせる手口で進めるかと思わせ。あれあれ??なんか怪しいな、と。
なんだ、結局安倍政権押しかよ、というそんな記事です。

 

”奴隷労働”をしながら「残業代ゼロ」を批判する不思議なひとたち 週刊プレイボーイ連載(193) | 橘玲 公式サイト

安倍内閣が今国会で法制化を目指す「高度プロフェッショナル労働制」は、メディアによって呼び方がまったくちがいます。ある新聞は「脱時間給制度」、別の新聞は「残業代ゼロ制度」で、この3つが同じ法案だということを知らないひとも多いでしょう。

このなかでもインパクトが大きいのは「残業代ゼロ」で、働いてもお金がもらえないのなら、そんな法律を支持するひとがいるわけはありません。これは「人種差別法案」とか「戦争参加法案」と同じで、最初に問答無用で否定的なレッテルを貼り、議論そのものを拒絶する典型的なプロパガンダの手口です。

 

安倍晋三のフェバリットワードである「レッテル貼り」を確認した時点で(そっ閉じ)しなきゃいけないのに。私もまだまだ修行が足りません。仕方がない、乗りかかった船だ。さらに読み進めます。

 

不思議なのは、「残業代ゼロ」を旗印にこの法案を強く批判する新聞社が、従軍慰安婦問題や原発報道でトラブルを起こし、今後は「中立公正な立場」で報道すると紙面で宣言していることです。「残業代ゼロ」という決めつけに対しては、法案の作成にかかわった経済学者などから「あまりにも偏向して不公正」と抗議されていますが、それとこれとは別なのでしょうか。

 

従軍慰安婦問題や原発報道でトラブルを起こし】と、暗に朝日新聞を批判するスタンスは、やはりアレな御仁だったりします。で、問題はここからです。

「高度プロフェッショナル」は年収1075万円以上という要件ばかりが強調されますが、これは本来、社内弁護士や社内会計士など専門的な資格・技能を持つスペシャリストを想定しています。彼らは「会社に所属している自営業者」ですから、報酬が青天井で転勤など人事異動の対象にならない代わりに、働き方は自分で管理し、会社が要求する成果を達成できなければ職を失うことになります。自営業者に収入の保障などないことを考えれば、これは当たり前の話です。

は?
1075万円という高額な年収の人々は社内自営業者ですと?

toyokeizai.net

 


 

40歳推計年収について:各企業が発表した直近決算の有価証券報告書に記載された平均賃金と平均年齢を基に40歳平均年収を推計。推計に使用した賃金カーブ(賃金の伸び率)は厚生労働省が調査・発表している「平成25年賃金構造基本統計調査」の5歳刻みの賃金額(所定内給与+賞与)から業種分類ごとの賃金カーブを算出。その賃金カーブを各企業の平均年収と年齢に当てはめて試算。(データ出所:各社の有価証券報告書(2013年6月期~2014年5月期)、厚生労働省「平成25年賃金構造基本調査」を基に東洋経済が作成。

 40歳平均年収が1位のキーエンス様なんか、なんと、1440万円ですと。


羨ましい、を通り越してキーエンス本社社屋の外部コンセントからこっそりケータイの充電をしたりして、姑息に憂さを晴らしたいくらいの年収ですわね。


それはさておき、そんな平均年収ってのは、タチバナ先生の言う『社内弁護士だとか社内会計士』ばかりなのかしらん?
弁護士や会計士ばかりをそんなに雇って本来の業務はどうなんだろ、と要らぬ心配をしてしまいます。

 

それに対して「正社員」という日本独特の職業身分では、定年までの雇用保障と引き換えに、会社はどのような理不尽な要求をしても許されることになっています。日本では労使協定で事実上無限定の時間外・休日労働が認められていますが、グローバルスタンダードの労働基準ではこれは明らかな違法行為です。そのため日本は、ILO(国際労働機関)の労働時間関係条約をひとつも批准できません。

日本人の長時間労働は終身雇用・年功序列の日本的雇用の悪弊で、「残業代ゼロ」制度とはなんの関係もありません。同じサラリーマンでありながら、一部の人間が「プロフェッショナル」として高給を得ることに嫉妬するひとが批判しているのでしょう。

終身雇用みたいな安定雇用と引き換えにして、喜んでサービス残業しているお前らサラリーマンが悪いんだ!と。
しかも高給取りの社内自営業者(←嘘ですね)に嫉妬してんだろ、とのたまってます。

 

この話がグロテスクなのは、「残業代ゼロ」で働いているひとたちが、「残業代ゼロ」法案を批判していることです。それよりさらにグロテスクなのは、本人がそのことに気づいていないらしいことです。

サービス残業は「現代の奴隷制」ですから、それを一掃するには経営者に懲役刑を科せばいいだけです。こういう当たり前の主張をする「リベラル」が日本にいないのは、みんな奴隷労働が好きだからなのでしょう。

 

この記事がグロテスクなのは、1075万円と言う年収がほんの一部のスペシャリストだけのもので、さらに言えばこの年収規制がいつまでも長く続くと想定しているか、もしくは隠しているか、という点です。

ご参考までに、よろしければ。↓

なにが高度プロフッショナルだ。残業代ケチるようなセコイ考えのくせして【残業代ゼロ法案】 - 諸般の事情はどうですか

 

 

 

さて、このように塩崎【企業】功労賞(こうろうしょう)も年収規制枠の近い将来の撤廃手形を企業側に払い出している、ということも知らないのか?それとも知ってて隠してんのか。
まあ、かしこい経済作家様ですから後者なんでしょうが。

ま、仮に。
百歩譲ってサビ残してるとしてもですね、これ以上は嫌だ、ってんで批判・反対してんでしょ。フツーそう考えますよね。

 

最後はリベラルdisで締めくくっていますから、この御仁がどのような立ち位置なのかよく分かるようになっていますので、ほっと一安心できる仕掛けになっていますけども。