「正規の仕事がない」との理由が減少した原因?

前エントリーが久しぶりに多くのブクマを頂き、恐悦至極でございまして。
コメントも頂いたのでそれに関してのエントリーを書こうと思います。

■id:takonohamajp

データの扱い方がどちらも恣意的すぎる?
【男性では「正規の職員・従業員の仕事がないから」が前年同期に比べ9万人減少】労働力調査(詳細集計) 平成27年(2015年)10~12月期平均(速報)結果

■id:wrr

確かにデータの扱い方がちょっとだめですね。正社員自体は人口構造の歪みから減ってくので正規雇用比率でみるといいです。安倍政権以降生産年齢人口での正規雇用比率は高まってます。非正規雇用が増えたのも主に就職弱者、特に高齢者が働けるようになったからで円高時の就業率の低下と円安時の就業率の上昇、世代別で見れば65歳以上だけが非正規比率が高まってますね、ほかは低下に転じてます。

 

お二方コメントありがとうございます。
takonohamajpさん、前年同期に比べて減少したという点は評価しなければいけません。しかし、wrrさんのコメントにも関係するのですが、その減少に転じた原因がどこにあるのかというものです。「改正高齢者雇用安定法」だとか企業の定年延長再雇用制度などが俎上に上がってくるのかもしれません。

 

というのも、高齢者や定年延長による再雇用などの非正規雇用者は正社員だったか、あるいは初めから正規雇用を求めない傾向にあるものと思われます。wrrさんが言及されていますように、65歳以上の非正規率が高まっていることを踏まえると、そういう制度が「正規の仕事がないから」という理由の減少である可能性が高いと思いますが。
そのことに関した『東洋経済オンライン』の記事を見つけましたので以下引用します。

非正規雇用比率「4割大台乗せ」の正しい見方 | 就職・転職 | 東洋経済オンライン | 経済ニュースの新基準

ポジティブな非正規雇用が増えている

つまり、4年前と比較して「非正規」の割合が増加したことは確かだが、追いつめられた労働者がやむを得ず、というステレオタイプな「非正規」のイメージとは異なり、法によって企業に義務づけられた制度により、労働者にとってポジティブな「非正規」雇用が増加している可能性が高い。

「改正高年齢者雇用安定法が、非正規割合を押し上げた一つの原因と言えることは確かだ。昨今の景気の回復によって、65歳以上の就業割合は上昇傾向にあることを示している。メディアでは少し歪められた形で報道されているのではないか」(厚生労働省雇用・賃金福祉統計課 山口美春氏)

 

このグラフを見ると、25~54歳男性では、やはり圧倒的に「正規の職員・従業員の仕事がないから」という理由がダントツです。この記事の後半部分を少し引用します。

高年齢者雇用安定法も、結局もともと正社員だった人だけが恩恵を受けられる仕組み。順調に正社員を続けてきた人と、レールから外れてしまい従来から非正社員だった人との間で、「非正規」の枠の中でも、格差が生じる状態になってきているということが、本質的な問題なのではないだろうか。

 

順調に正社員を定年まで勤め上げた高齢者と、これから、という25歳~54歳の働き盛りの男性が「正規の仕事がないから」というのとでは雲泥の差があると感じますが。なにしろ「2014年1年間に非正規労働者に支払われた給与総額は正社員の12%にとどまる。(日経新聞の社説より)」という給与の格差が厳然としてありますから。
正社員だった人が定年を迎え再雇用となった場合には正規従業員としての雇用は求めないだろう、というのが概ね正しいのではないでしょうか。

 

長谷川幸洋氏だけじゃなく、この雇用統計は総務省厚労省そのものが恣意的な数字を出しているなあ、と感じた事です。そもそも非正規雇用の男女の数字を合計していること自体が変だなと思ったからです。
家計の助けになるから、夫の配偶者控除を受けながら103万の壁でパートとして働く非正規雇用女性と家計の大半を稼ごうとする非正規雇用男性の問題点は大きく違うと思うわけです。

 

 

ところで記事とは関係ないけど。
エクセルなどのデータをはてなブログに張り付けられるんですかね。
前エントリーを書いている時、無知なものでデータをプリントアウトして、それをスキャンして画像として取り込んだりしましてね(苦笑)ですからグラフの色が微妙な感じでしょw