まず最初に労働者の権利を教えておくれ

bunshun.jp

 

以下、今野晴貴氏の記事の概要を引用します。

 

 今回の事態が起きたのは、JR東京駅構内の自動販売機の補充を担当する、サントリー食品インターナショナルグループの自動販売機大手「ジャパンビバレッジ東京」に勤務する社員10数名が労働組合に加盟し、「順法闘争」を行ったためだった。法律に従い休憩を1時間分取得し、残業を全く行わずに仕事を切り上げるという戦術である。

 

 ごまかされた残業代未払い

同社の問題は複数あるが、その一つが残業代の未払いだ。同社では、昨年12月まで、自動販売機の飲料を運搬・補充する外回りの業務に対して、残業代を支払っていなかった。ひどい場合は、1日4時間以上ただ働きをさせられている労働者もいた。

(中略)

 この状況を打開しようとしたのが、今回のブラック企業ユニオンによる順法闘争だったというわけだ。実は、労働組合はある面では「特別の力」を持っているのである。

働き方改革」の限界と労働組合の意義

 簡単に説明すると、労働組合に入ることで、労働者は会社と「団体交渉」と「団体行動」を行うことができる。会社は団体交渉を申し込まれると、誠実に応じる義務があり、無視すると法律違反になってしまう。また、労働組合は、街頭宣伝やストライキなどの団体行動を合法的に行うことができ、刑事上の処罰や損害賠償請求からも免責される(つまり、正当な組合活動であれば、会社に迷惑をかけても損害賠償の対象にはならない)。

(後略)

 この記事は、労組が労働者の権利を単に行使しているに過ぎないという話です。このユニオンが順法闘争することの必然は広く知られていくべきもの。
ところで今回、私がこのブログで特に言いたいことは後段の太字ボールドの部分。

 

最初は誰もが知っているであろう、こんなことをなんで書くのかな、と思った。だけどちょっと待て、果たして「誰もが知っている事なのだろうか?」と、疑問に感じた。ひょっとして、今野氏もそういう思いから、労働組合としてのイロハのイを記したのかもしれない。団結権団体行動権、団体交渉権といった、労働三権憲法28条)のことを表しているのだが、このことを知らないで被雇用労働者をしているのは、つまり大袈裟に言えば免許を保有していないのに自動車を運転するようなものではないだろうか。

 

私は、ブコメツイッターで何度も書いているのだが、中学校で労働三権労働組合法の肝である第7条や労働基準法第1章くらいは授業をやるべきだと思う。くだらんパターナリズム価値観や、国を愛する心なんてものを押し付ける道徳なんかよりも多くの子供たちが労働者になる現実を踏まえれば、よほど役に立つと思う。

義務ばかりを声高に言う前に、労働者の権利を示して欲しいもの。
だって、容疑者を検挙する時には警察ですら権利を読み上げるだろう。

冗談はさておき。

おりしも今年もメーデーが近づいてきた。数年前からメーデーは政治的イデオロギーばかりをスローガンにする、などと労組を批判するネット記事を目にすることが何度かある。私もその批判に対し、辛辣な批判を返したものだが、ある意味、今の「連合」を中心としたお手盛り御用労組の運動が決して褒められるものでは無いこともまた事実。

企業内労組の限界は、当該の企業にさして大きな争議が持ち上がらない場合、すべからく御用組合化していくという欠点があるように感じます。地域独立ユニオンが広まることで「正社員クラブ」などと揶揄されず本当の意味での労働問題に取り組むことでブラック企業なども淘汰されていくものだと考えますが、どうでしょうか。

 

以下に労働組合法第7条を引用します。

 

第7条  
使用者は、次の各号に掲げる行為をしてはならない。
  1. 労働者が労働組合の組合員であること、労働組合に加入し、若しくはこれを結成しようとしたこと若しくは労働組合の正当な行為をしたことの故をもって、その労働者を解雇し、その他これに対して不利益な取扱いをすること又は労働者が労働組合に加入せず、若しくは労働組合から脱退することを雇用条件とすること。ただし、労働組合が特定の工場事業場に雇用される労働者の過半数を代表する場合において、その労働者がその労働組合の組合員であることを雇用条件とする労働協約を締結することを妨げるものではない。
  2. 使用者が雇用する労働者の代表者と団体交渉をすることを正当な理由がなくて拒むこと。
  3. 労働者が労働組合を結成し、若しくは運営することを支配し、若しくはこれに介入すること、又は労働組合の運営のための経費の支払につき経理上の援助を与えること。ただし、労働者が労働時間中に時間又は賃金を失うことなく使用者と協議し、又は交渉することを使用者が許すことを妨げるものではなく、かつ、厚生資金又は経済上の不幸若しくは災厄を防止し、若しくは救済するための支出に実際に用いられる福利その他の基金に対する使用者の寄附及び最小限の広さの事務所の供与を除くものとする。
  4. 労働者が労働委員会に対し使用者がこの条の規定に違反した旨の申立てをしたこと若しくは中央労働委員会に対し命令に対する再審査の申立てをしたこと又は労働委員会がこれらの申立てに係る調査若しくは審問をし、若しくは当事者に和解を勧め、労働争議の調整をする場合に労働者が証拠を提示し、若しくは発言をしたことを理由として、その労働者を解雇し、その他これに対して不利益な取扱いをすること。